今話題のしゅうゲームズはなぜ面白いのか、わかりやすく解説してみる
最近、twitterである動画がバズっていた。
このツイートだ。
このマリオカート実況、下手なのに運もなくておもしろいwww
— ツイチューブ TwiTube (@Twitube_123) 2019年10月9日
pic.twitter.com/JwX2ucXmf8
この動画は、しゅうゲームズというチャンネルのYoutuberの動画で、僕も割と見たことことがあったので興味深いと思った。ちなみにチャンネル登録者数は50万人と、かなりの大物である。
ここでは、しゅうゲームズの面白さについて3つの要素から解説してみる。
①語彙力のないタイトル
しゅうゲームズの実況者、しゅうさんは基本的に語彙力がないように見える。動画のタイトルは、「〇〇〇がすごい (ゲーム名)」だったり、時には時事ネタがそのままタイトルになっていたりする。まるで小学校の夏休みの宿題のようなタイトルである。
しかし、このタイトルはしゅうゲームズの大きな強みなのである。
Youtubeの動画は、検索画面では基本サムネイル、タイトル、Youtuber名のみで表示される。
当然だがYoutuberはその3点において視聴者を取り込もうと試行錯誤するはずである。
その中での順序を考えてみよう。
◆Youtuber名
Youtuberの名前はブランドとして固定化されるため、その名前は1度きりであり、どんなにインパクトがあっても2度目以降は慣れが生じる。
◆タイトル
これは普通のタイトルに加え、「ご報告があります」「謝罪します」などのあえて内容を伏せて興味を引き、動画を視聴させるという技法が凝らされてきたが、現状その手も一般化してきている。またスマホでは文字数上右側のワードが一見では見えないため、情報に限りがある。
◆ サムネイル
大抵のサムネイルはタイトルと関連したもので、なるべく目につくようパワーワードを強調していたり、目を引く画像を置いていたりする。この中では一番情報の自由度が高い。
なので、この3点においての優先度は
サムネイル≥タイトル>>>>名前
とでもできるのではないか。実際には多くの動画でサムネイルとタイトルは呼応しているので、厳密に分けることはできないと思われたため≥を用いた。
ちなみに、超有名Youtuberのヒカキンさんの動画を比較例にしてみると、このようになっている。
基本的には、タイトルは【◯◯◯】〜〜〜〜というように、目を引くワードをかっこでくくり、そして左側から順に重要なワードを並べて動画の内容がわかるようなタイトルをつけている。例でいうと、1つ目の動画では、【超巨大】と「跳び箱20段」がとりわけ目をひく仕組みになっている。
また、サムネイルもタイトルと呼応して重要なワードを強調し、ゲーム動画でもそのゲームタイトルをサムネ上で示すなどの工夫がなされている。
【超巨大】跳び箱20段にヒカキンが挑戦!余裕だろ!【モンスターボックス】
【最終回】ヒカキンのスーパーマリオオデッセイ実況 Part15【キノコ王国 後編】
現状、このようなYoutube動画の編集がテンプレートといっても過言ではないだろう。人気ユーチューバーはほぼ同じようなタイトル、サムネイルだし、実際に再生数も高い。
その中ではしゅうゲームズのタイトルはあまりに非Youtube的なタイトル、サムネイルすぎて、逆に際立つのである。
パズドラの動画がサムネイルに表示されているのに、タイトルが「増税」となっていれば、頭の中に?しか浮かばない。
実際に、Youtubeで「増税」と調べてみても、トップ検索に出てくる動画の中でパズドラをしているのはしゅうゲームズだけである。
このように、本来のYoutuberの流行とは正反対を向くようなタイトルと、シンプルなサムネイルを用いたことが、動画を選択する時点での視聴者に刺激を与えた、つまり面白さを産んだと考えられる。
ところで、①のようなタイトルは、視聴者を動画に引き込むという点では有効であるが、実際に動画の内容が面白くなくては視聴者はリピートしない。そこで、次はしゅうゲームズの動画内における面白さについて考えてみる。
②独特の言葉遣い
しゅうゲームズの動画の中では、しゅうさん独特の言葉の言い回しが使われている。
少しピックアップしてみよう。
なお、ここではしゅうゲームズの動画のコメント欄にあった、『しゅうゲームズ語録』(2019,6,アムスフィッシュ)から引用する。
【激アツファンタスティックエブリデイ】
意味は不明だが、語感の良さから頻繁に使用される言葉。感情が高ぶった時に使用される。「激エブ」という略称で使用されることもある。
【今はね】
現時点では。
ちなみにこのような言葉をしゅうさん本人が紹介している動画もある。
このようなチャンネル独特の言葉は、そのチャンネルという共同体独自の文化として強く根付き、チャンネル支持者によってよく使われている傾向がある。
この傾向ははなおチャンネルでも見られている。また、広く言えば2chやニコニコ動画などから流行し始めた「草」や「〜ンゴ」のような言葉とも類似性があるだろう。
いずれにせよ、「激エブ」といった言葉によりしゅうゲームズのファンの結束は強まり、既存の視聴者が土着し、固定視聴者層を獲得する契機になっていると考えられる。そしてこの語録の奇妙さとそれを使う視聴者の一体感のようなものが、動画に面白さを産み出しているのではないだろうか。
このような「迷」単語を生みだすしゅうさんは、語彙力が低いのか高いのかわからなくなってくる。そういったところもまた彼の魅力なのだろう。「草」や「タピる」などに続き、「激エブ」という単語が渋谷のJKから聞こえるようになるのもそう遠くはないのかもしれない。
③ゲームのキャラ立てのうまさ
しゅうゲームズにおいて取り上げられている主なゲームは、パズドラ、マリオカート、マリオメーカー、wii sportsなどである。ゲーム名だけではかなりプレイ人口が多く、実況者も多いイメージがあるが、このゲーム内で100万再生を獲得しているのだからかなりの実力者ということになる。しかし、一つだけ異例のゲームがある。
Wii Sportsである。
我々のようなwii世代が一回はやったことのある名ソフトではあるが、このゲームを実況して再生数を得ているYoutuberはあまりいない。実際wii sportsの再生ランキングを見ても、海外の動画や超絶テクニック系の動画を除けばしゅうゲームズの動画がno.1である。なぜここまでの人気を引き出しているのだろうか。
この動画は10月現在で111万回再生(去年9月に公開)されているが、内容はwii sportsでコンピューター相手に野球をする、というだけである。しかしこの単純な内容で100万再生を突破する、というところが、まさしくしゅうゲームズの真骨頂なのである。
この動画の再生数について考察すると、②であげたような、しゅうゲームズ独自の語録の存在と固定視聴者層が多いことが理由として考えられる。実際動画のタイトルに「しょうた」という人物が含まれているが、彼とその顔面こそがこの再生数の立役者である。
彼についての詳しい説明は先ほどの語録動画に投げるが、簡単に言えば「wii sportsのデフォルトキャラ」である。そんなモブキャラでしかない彼をしゅうさんが「40代独身」などと強烈にキャラ付けし、彼とのwii sportsの日々をまるで現実の友達かのように投稿したことから人気が出たと考えられる。「しょうた」が出演すればしゅうゲームズファンは喜び、再生数が伸びていくのだ。
この例からもわかるように、しゅうゲームズは、喋らないモブキャラやインターネットの対戦相手のキャラ付けが上手いからこそ動画の面白さに繋がっている。
その面白さがあって、①であげたタイトル・サムネイルの独創性を可能にしているとも言えるだろう。
このように「しゅうゲームズの面白さ」について1視聴者が噛み砕いてみたが、彼の面白さを理解するには彼の動画を見るのが一番はやい。みなさんもしゅうゲームズで「激エブ」な日々を過ごしてはどうだろうか。
激エブ
— モノログ (@MonoLogas) 2019年10月16日
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